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ムーラバンダで働く骨盤底筋群!その機能を解説!

ヨガ指導者向け
串本先生
串本先生

ヨガシカくん!ヨガでは骨盤を締めるムーラバンドがあるけど、ムーラバンドではどこの筋肉を使うかな?

ヨガシカくん
ヨガシカくん

骨盤底筋群です!

串本先生
串本先生

正解!その骨盤底筋群はヨガではとても重要な筋肉なので今回は骨盤底筋群について解説します!

ムーラバンダで働く骨盤底筋群の機能

ムーラバンダは骨盤を安定させるバンドでお尻を引き締めるようにします。
この時に働くのが今回、解説する骨盤底筋群です。

骨盤底筋群はその名の通り、骨盤の底に存在している複数の筋肉の総称です。女性の身体に深く関わる筋肉で一般女性の方でも一度は聞いたことがある筋肉名ではないでしょうか?

今回はそんな女性の身体に深く関わる骨盤底筋群について解説します。

骨盤底筋群ってなに?

「骨盤底筋群」と呼ばれるくらいなのでいくつかの筋肉が集まった総称になります。全てを覚える必要はありませんが簡単にご紹介しておきます。骨盤底筋群の構造は表層と深層に分かれています。

表層
  • 球海綿体筋
  • 坐骨海綿体筋
  • 浅会陰横筋
  • 外肛門括約筋
  • 内尿道括約筋
  • 深会陰横筋
深層
  • 恥骨尾骨筋
  • 腸骨尾骨筋
  • 坐骨尾骨筋
  • 尾骨筋

このような感じで分類されています。正直、産前産後の方へのクライアントさんに介入しない限りはここまで詳しく覚える必要はありません。

また、それぞれの筋肉が単独で収縮することはなく各筋肉が協調して働きます。なのでそれぞれの筋肉名を無理に覚える必要は無く、「骨盤底筋群」という総称を覚えるだけで良いでしょう。

骨盤底筋群は恥骨尾骨坐骨仙骨にそれぞれ付着しており収縮すると骨盤底全体が頭方向に向かって持ち上がります。近年では骨盤底筋群のみでの収縮はせずに、腹筋群と収縮することにより骨盤底筋群が活性化されると言われています。つまり、ムーラバンダだけでなくウディーヤーナバンダと合わせて行うことで骨盤周りの筋肉が活性化され骨盤が安定してくるということですね。

骨盤底筋群の機能

では骨盤底筋群の機能について解説します。主な機能は以下の3つです

骨盤底筋群の機能
  • 排泄のコントロール
  • 骨盤内の内臓の支持
  • 体幹の安定化

ではそれぞれの機能を解説します。

排泄のコントロール

ヨガで「お尻を軽く締めて」と骨盤のポジションを調整する時に声かけする場面があります。これは骨盤底筋群を使うように口頭指示をして骨盤を下から支えるようにするためです。

同じような表現で「トイレを少し我慢するように締めます」という言い方もできます。産前産後ケアだとよく使われる表現です。僕は男なので女性に対してそのような口頭指示はしませんが女性指導者ならいう場面があるかも。ちなみにあまり強く締めると骨盤底筋群が働かないので注意しましょう。

このような口頭指示があるくらいなので骨盤底筋群が排泄のコントロールに関与しているのがなんとなくわかるのではないでしょうか?

骨盤底筋群が機能不全を起こすとまず尿失禁を起こす可能性があります。尿失禁というのは産後の女性や高齢者の女性に起こりやすい現象です。原因としては骨盤底筋群の機能不全により腹圧の低下です。

例えば、咳をした時に腹圧が高まるのですが、この時に骨盤底筋群が働き尿失禁を防ぎます。しかし、骨盤底筋群が機能低下していると骨盤底方向にかかった腹圧をコントロールすることができず尿失禁が生じています。風船の中に一気に空気が入ったのに圧に負けて穴が空くみたいな感じですかね。

骨盤内の内臓の支持

また、骨盤底筋群は骨盤内の内臓を下から支持する役割があります。これが支持できていないと内臓が下方へ押し下がります。

次に説明する体幹の安定化にも関係してきますが、これに加えて姿勢が崩れて丸まるような姿勢になると内臓が圧迫されてしまいます。

こうなると内臓は本来にいるべき場所にいないので内臓も働きにくくなります。先ほど解説した尿失禁も生じやすくなります。

なので産後の女性や高齢者の女性にはムーラバンダは有用なのです。

体幹の安定化

次に体幹の安定化についてです。

骨盤底筋群は拮抗する横隔膜と協調して働きます。横隔膜と協調して働くタイミングは呼吸です。

吸気時には横隔膜が下方に下がり、骨盤底筋群は遠心性収縮をしながら下方に下がります。胸郭は膨らみます。

呼気時には横隔膜が上方に上がり、骨盤底筋群は求心性収縮をしながら上方に上がります。胸郭はしぼみます。

このように横隔膜と協調することで腹圧のコントロールを行います。腹横筋と同様に動作を行う際に先行して骨盤底筋群が収縮することで動作を安定させるのです。

特に骨盤底筋群は遅筋繊繊維が約70%と言われています。なので持続的に良姿勢を保つには普段から収縮する練習を行い、無意識化でも骨盤底筋群が収縮して動作を安定させる必要があります。

臨床現場において機能不全を起こした骨盤底筋群のエクササイズのやり方があります。

①まず仰向けになり両坐骨を中心に引き寄せ、骨盤底を吸い上げるように指示します。これで骨盤底筋群の収縮を促します。

②骨盤底筋群の収縮が行えるようになったら座位になります。同じように坐骨を中心に引き寄せて骨盤から頭頂部までの軸を上下に伸ばすようにします。この時に骨盤底筋群の収縮が弱くならないように注意するのがポイントです。

この方法はムーラバンダと似ていますよね?

また、プラーナが下に抜けないようにムーラバンダを行い、プラーナが上に突き抜けていくイメージで座るように、という口頭指示を出す指導者の人もいます。

骨盤底筋群や腹横筋は「締めよう締めよう!」と強く思っても働きまけん。ポイントはトイレを我慢するイメージを持つことです。このくらいの弱い収縮のイメージするだけで骨盤底筋群は収縮していきます。

ヨガのレッスンでの口頭指示は収縮を強くイメージさせないようなワードを言うことは理論的にも非常に有用です。

まとめ

今回はムーラバンダで働く骨盤底筋群の機能について解説しました。指導者の方は骨盤底筋群の機能を意識することでより良い指導ができるようになるはずです。

特にヨガは女性の参加者が多いので骨盤底筋群のことを知っていれば良いコミュニケーションが取れるはずです。

プロフィール
kushimotomisao

串本 操/ヨガ・ピラティスインストラクター広島県広島市出身。全米ヨガアライアンスRYT200 ポールスターマットピラティスインストラクターの資格を取得。
現在、広島市内の整形外科で勤務。「ヨガ・ピラティスのメソッド」と「15年以上実務から得た経験と知識」を活かした運動指導方法でリハビリ業務やグループレッスンをしています。保育園でのキッズヨガ、アスリートへのコンディショニングヨガ、高齢者向けのシニアヨガと転倒予防教室など老若男女問わずそれぞれのニーズに適した運動指導を得意としています

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